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大阪地方裁判所 昭和50年(わ)821号 判決

(一)本店所在地

大阪市浪速区元町一丁目七五二番地ナニワビル

商号

株式会社 金子組

代表者氏名

金子亀太郎こと 金亀太

(二)本籍

韓国慶尚南道馬山市石田洞一三三番地

住居

奈良県生駒市北新町一七番一九号

職業

会社役員

氏名

金子亀太郎こと 金亀太

生年月日

大正一五年一〇月一六日

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官藤本徹出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人株式会社金子組を罰金一、〇〇〇万円に、被告人金亀太を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人金亀太に対しこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人株式会社金子組(昭和四七年一一月二四日以前は、有限会社金子組)は、大阪市浪速区元町一丁目七五二番地ナニワビル内(昭和五〇年二月九日以前は、大阪府東大阪市新喜多一〇三番地)に本店を置き、土木工事業などを営むもの、被告人金亀太は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人金亀太は同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  被告法人有限会社金子組の昭和四六年五月一日から昭和四七年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が二三、〇八五、八三五円で、これに対する法人税額が八、二一九、四〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上外注加工費を水増計上するなどし、これによつて得た資金を架空名義の定期預金にするなどの行為により、右所得金額のうち一八、五五六、五七八円を秘匿したうえ、昭和四七年六月二九日、大阪府東大阪市永和二丁目三番地所在東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、四、五二九、二五七円で、これに対する法人税額が一、四〇〇、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税六、八一九、三〇〇円を免れ、

第二  被告法人株式会社金子組の昭和四七年五月一日から昭和四八年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が四一、一五四、九四〇で、これに対する法人税額が一四、八一〇、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち三五、二一六、二九三円を秘匿したうえ、昭和四八年六月二九日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五、九三八、六四七円で、これに対する法人税額が一、八六八、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一二、九四一、九〇〇を免れ、

第三  被告法人株式会社金子組の昭和四八年五月一日から昭和四九年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が五七、三一四、四八四円で、これに対する法人税額が二〇、七四五、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち四七、〇一二、四七三円を秘匿したうえ、昭和四九年七月一日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一〇、三〇二、〇一一円で、これに対する法人税額が三、四六八、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一七、二七六、九〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

第一回公判調書中の検察官請求証拠目録(一)記載番号1乃至105及び同目録(二)記載請求番号1乃至4と同一であるから、これを引用する。

(法律の適用)

判示各所為は、被告法人の関係でいずれも法人税法一六四条一項、一五九条、七四条一項二号に、被告人金亀太の関係ではいずれも同法一五九条、七四条一項二号に該当するところ、被告法人の以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内で被告法人を罰金一、〇〇〇万円に処し、被告人金亀太については判示各罪につきいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、同被告人に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 青野平)

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